2011年12月17日土曜日

三嶺(1893)南面、雪崩リスクの高い斜面


三嶺(1893)南面、雪崩リスクの高い斜面



2011年12月17日撮影 三嶺南面
例年 雪崩痕が 多々みうけられ 雪崩リスクの高い斜面だ。

2011年12月17日はまだ初冬期で とくに問題はなかったが、雪が多くなる積雪時期には 名頃から 夏道コースでは この斜面の通過が ポイントとなる。

積雪状況など見て慎重に判断が必要で、場合によっては 引き返す判断もでてくる。


■2008年3月8日 三嶺山頂
「三嶺山頂は風弱く、快晴。長居をしていると、突然、山頂南面で雪が崩れた。スローモーションのようだったが、雪崩中にはカメラのシャッターは間に合わず、直後の写真がとれただけだった。」

http://shumiyama.web.fc2.com/2008/20080308ushinose_1806.html
http://shumiyama.web.fc2.com/kiroku-huyu/2008tengpass.html
http://shumiyama.web.fc2.com/kiroku-huyu/2006nadare.html



■20回に一回というリスク。

「つまり、雪崩地形に行っても何も起こらない。もう一度行っても何も起こらない。さらにくり返し行っても、まだ何も起こらない。そう、味をしめるのだ!
だが そこには決定的な事実がある。積雪は95%の確率で安定しているのだ。つまり 、雪崩についてまったく無知でも、20回に19回は何も起こらない。これは かなりの勝算だろう。だが 逆を言えば、20回に1回は、とてつもない恐怖、打撲、ケガ、あるいは死を味わうことになる。」
『雪崩リスクマネジメント』Bruce Tremper著 日本雪崩ネットワーク訳
2004年12月1日 初版 株式会社山と溪谷社

■柳澤昭夫 氏(故人)

みんないっているから 安全というわけでない。
あくまで その場にでくわして 危険を回避できるか 自分で 判断できるかどうかである。

「みんなが行けば怖くない式で、天気はいいしあいつらも行っている、軟弱と見られるのはシャクおれらも行こうよという連中がある一方、いやみんなは行動しているけどおれたちは何がなんでも今日は動かないという信念があるかどうかの違いに過ぎない。」

柳澤昭夫 氏(故人)
『岳人 2008年4月号 備忘録』

大雪の冬 三嶺(1893)の名頃コース

2011年3月26日土曜日

2011年3月26日 落合峠(1520)から 矢筈山(1848)への途中


「良い判断は経験から、経験は悪い判断から得られる」



「習慣がいつも問題だ。アンカレッジ(アラスカ州)の近くにある、この明白なアバランチ・パスにおいて、なぜ皆がこの斜面の一番急な斜面をいつも横断するのか? 僕はそこに夏道が存在することに気がつくまで、その行為が理解できなかった。」
(Chugach Range,Alaska)(C)Bruce Tremper
『雪崩リスクマネジメント』Bruce Tremper著 日本雪崩ネットワーク訳
山と溪谷社 2004年12月1日


2011年3月26日 落合峠(1520)から 矢筈山(1848)への途中

季節はもう 3月下旬。 例年の この時期にくらべ この年は雪が多く残っていたのに、雪も締まっているからと、迂闊にも判断。

夏道の トラバースコースをとってしまった。
ここからトラバースにはいってしまった。

積雪期は いつも意識して尾根通りのコースをとっているのだが 3月下旬という 先入観が判断の根底にあった。

途中 雪面から 例年より すこし 季節が違うなと暗示的な 違和感を感じとってはいたが もう少しで 鞍部へ という気持ちのほうが 先に立って 前へ前へ 進んでしまった。

そのとき 一歩 踏み出すと共に 突然 大きな雪面全体が 一気に 亀の子状に破れて 動きだし 雪面が滑りだした。

やばい!

はじめ 畳四帖半くらいが 瞬時に 10m四方 20m四方と どんどん広がって 瞬く間に さらに 大きく どんどん 亀の子のキレツが 広い雪面いっぱいに ひろがって動いていく。

一瞬 スローモーションのような 割れと 雪面の動きに 体勢は崩れながらも 必死に 端部に逃げようとするが、 はやい雪面の流れのなかでは どうしようもない。

なんとか 主流の流れに だけは まき込まれないようと 立て直し 必死に逃げようとする。

このあいだ 時間としては ほんの数秒だったろうが ずいぶん長く感じた。

止まってくれ。

さいわい 端部の ほうだったので 流された距離も少なくてすみ 埋没せず 怪我もなく ことなきをえて 雪崩は 止まった。

雪崩の主流の中に まき込まれたら さらに はるか下まで流されてしまうところだった。 

助かった。

本当に危ない。

すぐに引き返し 矢筈山 第二峰経由に切り替えて 矢筈本峰へ向かった。


2011年 3月 26日 撮影 ブログ






「つまり、雪崩地形に行っても何も起こらない。もう一度行っても何も起こらない。さらにくり返し行っても、まだ何も起こらない。そう、味をしめるのだ!
だが そこには決定的な事実がある。積雪は95%の確率で安定しているのだ。つまり 、雪崩についてまったく無知でも、20回に19回は何も起こらない。これは かなりの勝算だろう。だが 逆を言えば、20回に1回は、とてつもない恐怖、打撲、ケガ、あるいは死を味わうことになる。」
『雪崩リスクマネジメント』Bruce Tremper著 日本雪崩ネットワーク訳
山と溪谷社 2004年12月1日


■たとえ 5パーセントの確率でも  雪山に数多く いけば いくほど 雪崩に出くわす場面は多くなる。

山に行く機会が多く、山中での滞在時間が 長ければ長いだけ それだけ 危険に遭遇する機会は増える。

正直言って 若い頃は 中部山岳の多雪地帯で、 いま ふりかえればゾッとする 「無知の至福」のケースもあった。

その後も 雪山では足元からバサッと切れるなど ヒヤッとした場面など たびたび体験。

それでも 運良く まあ まあ 大丈夫。

しかし いままで 大丈夫から 今後も まあ大丈夫 というのは 自分勝手な判断で、単なる希望的な憶測にすぎない。

やはり そのつど 冷静な判断が必要なのだろう。



”僕は16歳の時、ほとんど何も考えずに、高い雪庇から飛び下りたり、険しいクーロワールに飛び込んだりした。今は、ロープを装着せずには、雪庇の先端に近づくことさえあり得ない。年齢と責任が増し、僕は注意深くなったが、それはバリー・ルバルトナーの言葉を借りれば「良い判断は経験から、経験は悪い判断から得られる」からである。”
『雪崩リスクマネジメント』Bruce Tremper著 日本雪崩ネットワーク訳
山と溪谷社 2004年12月1日


■ことに、「温暖な四国だから まあ大丈夫だろう」 という 先入観は 自分勝手な判断 以上に 一番怖い。


実際 温暖な四国でも 雪崩の遭難事故は 

1943年 3月29日 石鎚山 初芽成谷 上部 おたけ沢 1人死亡
1963年 1月14日 高知県 天狗原 高原スキー場 5人救出
1965年 3月16日 一の森 1人死亡
1968年 2月23日 石鎚山 初芽成谷 - 雪瀑間 4人死亡
1997年 2月11日 笹ヶ峰 北面 1人死亡
2001年 2月14日 石鎚山 ニノ鎖 三ノ鎖間 怪我

など 発生している。

羹に懲りて膾を吹く。

雪山は 臆病な方が いい。

臆病なら たとえ悪い判断でも 大事にならずにすむ。
ただし 良い判断のもとになる 貴重な経験をつむのには より多くの時間がかかる。

2011年3月5日土曜日

2011年2月19日土曜日

平成23年2月19日 天狗塚  雪崩


平成23年2月19日 YouTube 天狗塚 付近 雪崩
http://www.youtube.com/watch?v=qCEtCUjkosI 

平成23年2月19日 天狗塚
平成23年2月19日天狗塚山頂から 見ると 雪崩たところが 視認できる。
南面に 雪崩箇所が いくつも 見えた。平成23年2月19日
天狗峠 お亀岩間 で いちはやく 崩れる箇所は この南面。
雪庇崩壊も はやい時期に おこる
平成23年2月19日撮影
天狗峠 東面 樹林帯まで達する 雪崩がおきていた
平成23年2月19日撮影
平成23年2月19日撮影
天狗峠 東面、気持ち良い雪面だが
ここも ある時期 雪崩がおこり デブリが 堆積する。
この沢での 大休止 など とてもリスクが高く 危ないが、
この雪崩地形の中で 休憩する 全く無知な パーティーを見かけたことがある
よっぽど 雪風呂好きで ドップリ はいりたいのかな?

2011年2月17日木曜日

2007年12月31日 槍平 遭難事故の 報告書


2007年12月31日 槍平 遭難事故の 報告書


夏期小屋から10m。まさか こんな場所で 雪崩!

と思いおこしましたが 悠久の自然の営みにくらべ 、人間の経験など ごく わずかなもので とても しりつくすことなど できないものなのだ と 再認識しました。

亡くなられた方々に あらためて ご冥福を お祈り 申し上げますとともに

お二人に捧ぐ この報告書が 心からの 追悼と ご供養になるものと信じます。 合掌。




関係者へのヒアリングにはじまり、たびかさなる 現地調査など 事故にいたる いろいろな要因を あらゆる角度から 詳細かつ綿密に分析・検討されまして、困難な調査 編集作業をへて ここに報告書にまとめあげられました ご一同様の ご労苦にたいし 深く感謝と敬意を表す次第です。

報告書には 出川あずさ さん の 「槍平雪崩事故について」が特別寄稿されていました。

雪崩リスクの軽減





『~山岳ユーザーのための~雪崩リスク 軽減の手引き』出川あずさ・池田慎二 著 

特定非営利活動法人 日本雪崩ネットワーク 2010年12月24日 東京新聞 出版局


2007年12月31日 槍平 遭難事故の 報告書

 
『~山岳ユーザーのための~雪崩リスク 軽減の手引き』出川あずさ・池田慎二 著 
特定非営利活動法人 日本雪崩ネットワーク 2010年12月24日 東京新聞 出版局



2011年2月12日土曜日

2011年2月12日(土) 石鎚山 雪崩(「某 山岳会」の記録から 引用)


2011年2月12日(土) 石鎚山 雪崩

「某 山岳会」の記録から 引用

2011年2月12日(土) 
 9:50 二の鎖元→14:00 ロープウェイ成就駅  への下山中 雪崩に遭遇

「....テントを撤収し、装備を整えて下山開始。歩いているうちにますます視界が悪くなり、時々強い風が吹く。不安定な天候の中、樹林帯の中をジグザグに下山していく。完全なホワイトアウト状態ではなく、かすかな視界はあったが、どこが登山道なのかはまったくわからない。地図で確認しながら進んでいく。N尾さんはどっちに進むのか少しでも迷ったら、勘で先に進まずに必ず地図やコンパスで確認し、慎重に判断していく。あの悪天候の中、そうやって行動できることはとても大変なことだと思った。こんなピンチの状況下でのN尾さんの判断力はほんとうにすごいと思った。もしN尾さんがいなかったら間違いなく遭難していたと思う。

そんな悪天候の中、樹林帯をトラバースしながら下山していたところで、なんと雪崩に巻き込まれる。誰かが、「雪崩!!」と叫んだ次の瞬間には、頭上の斜面を雪崩がすごい勢いで流れてきた。最後尾にいたK藤さんと、その前にいた私が雪崩と一緒に斜面を数メートル転がっていく。雪崩と一緒に斜面を転がりながら、背負っているザックが重くて体が仰向けになってしまい、顔が下の方に埋まってしまいそうで怖くて、必死でもがいてうつぶせ状態になった。雪が体に被さって足は重くて動かなかったが、顔だけでも出そうと必死で両手でもがいて顔を出す。ああ、助かった!!よかった!!幸い小さな雪崩だったので自力で脱出することができたが、もしもあれが大きな雪崩で、体の上に雪がどんどん被さってしまったら、重くてもうびくりとも動くことができなくなるのかなと思うと、とても怖くなった。

それからは雪崩の恐怖と戦いながらの下山となった。雪崩れそうな箇所にさしかかると怖くてたまらなかった。万が一雪崩れた場合の、ピッケルを雪に刺す制止体制を教えてもらう。なるべく雪崩そうな箇所を避けながら下山していった。相変わらずホワイトアウトで視界が悪く、風が音を立てて吹く。半分は下っただろうか。このあたりからは登ってくる登山者とちらほらすれ違うようになった。登山者とすれ違うたびに、N尾さんが雪崩の危険のことなどを説明する。

途中で引き返しているパーティーもいたが、そのまま登っていく人たちもいた。今、登ってきた人たちのトレースが残っていたので、このトレースをたどって行けば迷わずに下山できる、そう思ってトレースをたどっていくが、相変わらずの吹雪のせいで、10 分もしないうちにトレースは跡形もなく完全に消えてしまう。

このときは雪山の恐ろしさを感じた。それからも下山するパーティーに道を譲ったり譲られたりしながら下山を続けた。もう雪崩の心配はないというあたりまでくるとかなりほっとした。さらに歩き続けていると、ようやくロープウェイの駅が!!上の方は吹雪で大荒れなのにこのあたりまで下りてくると、うそのように風もやみ穏やかになる。ああ、無事生還できた。一同、緊張がほどけてほっとした顔になる。....」

PDFファイル

http://pinnacle-mountain.jp/hp/report/2011/20110211-12-ishiduchiyama.pdf








2011年2月11日金曜日

雪崩注意報


雪崩注意報

四国でも 冬から 春先などに よく 雪崩注意報が出されることがあります。
以前は あまり気にすることなど なかったのですが、雪面の具合など やはり 気にするようになってきました。

南風など 急な温度上昇などで 急速な 雪解けが 進むようなときや、堅い雪面に 新たに積もった 不安定な雪など、いつなにが 起きても おかしくないのです。 


雪国では しょっちゅう 「なだれ注意報」が出ている。

北陸と 四国の

なだれ注意報の 発表基準を 比較してみた。

四国地方 なだれ注意報発表基準
(融雪注意報は 無し)
------------------------------

徳島地方気象台
今年の なだれ注意報は3年ぶりとか

------------------------------

徳島地方気象台
■なだれ注意報

積雪の深さ 50cm以上あり
次のいずれか

 1 降雪の深さ 20cm以上
 2 最高気温 7℃以上(徳島地方気象台での観測値)
 3 降水量 10mm以上

------------------------------

高知地方気象台

■なだれ注意報

積雪の深さが50cm以上あり次のいずれか
 1 降雪の深さ20cm以上
 2 最高気温が2℃以上
 3 かなりの降雨
------------------------------

松山地方気象台

■なだれ注意報
①積雪の深さ20cm以上あり降雪の深さ30cm以上
②積雪の深さ50cm以上あり最高気温8℃以上又はかなりの降雨*松山地方気象台の値

------------------------------

高松地方気象台

■なだれ注意報
①積雪の深さ20cm以上あり降雪の深さ30cm以上
②積雪の深さ50cm以上あり最高気温8℃以上又はかなりの降雨*高松地方気象台の値

------------------------------



北陸地方 なだれ注意報・融雪注意報発表基準


富山地方気象台

■なだれ注意報

1. 降雪の深さが90cm以上あった場合
2. 積雪が100cm以上あって日平均気温2℃以上の場合

■融雪注意報
1. 積雪地域の日平均気温が12℃以上
2. 積雪地域の日平均気温が 9℃以上かつ日平均風速が5m/s以上か日降水量20mm以上

-------------------------------------------

金沢地方気象台

■なだれ注意報

①降雪の深さが50cm以上あって気温の変化の大きい場合(昇温)
②積雪が100cm以上あって金沢地方気象台の日平均気温5℃以上、又は昇温率(+3℃/日)が大きいとき (ただし、0℃以上)

■融雪注意報

①積雪地域の日平均気温が13℃以上
②積雪地域の日平均気温が10℃以上、かつ日降水量が20mm以上

-------------------------------------------


福井地方気象台

■なだれ注意報

①降雪の深さが 50cm以上あった場合
②積雪が 100cm以上あって最高気温 10℃以上の場合

■融雪注意報

①積雪地域の日平均気温が 12℃以上
②積雪地域の日平均気温が 10℃以上かつ日降水量が 20mm以上

-------------------------------------------

新潟地方気象台

■なだれ注意報

1. 降雪の深さが50cm以上で気温の変化が大きい場合
2. 積雪が50cm以上で最高気温が8℃以上になるか,日降水量20mm以上の降雨がある場合


■融雪注意報

1. 積雪地域の日平均気温が10℃以上
2. 積雪地域の日平均気温が7℃以上,かつ,日平均風速5m/s以上か日降水量が20mm以上


2011年1月22日土曜日

平成23年1月22日 西熊山(1815)山頂から 落合峠を見る





平成23年1月22日 西熊山(1815)山頂から 落合峠を見る。

直線距離 9.3km

方位 350度

気になる 斜面

YouTube 動画
8:07あたりから 西熊山山頂から落合峠の動画
http://www.youtube.com/watch?v=NweXkuLOsOE



西熊山(1815) 山頂 から落合峠(1520)を見る 平成23年1月22日