2015年2月12日木曜日

『山岳雪崩大全』雪氷災害調査チーム 編 2015年2月5日 初版 山と溪谷社



『山岳雪崩大全』雪氷災害調査チーム 編 2015年2月5日 初版 山と溪谷社

 『最新雪崩学入門』1996、続編 『決定版雪崩学』2002 に続く 続々編といえる本で 雪崩について ことに 登山 スキー、スノボ などの対象となる山岳地帯での雪崩についての最新の 知見が盛り込まれている。

事故事例の分析も 新しい。

2013年11月23日の立山 真砂岳での7名死亡
2012年の三段山
2011年 猫魔ヶ岳
など など

もとより 雪は

「こな雪 つぶ雪 わた雪 ざらめ雪 みず雪 かた雪 春待つ氷雪」
など どころではない ぐらいに

つねに刻々と 変化し 氷か、水か、大気に昇華か などと 七変化どころか 変幻自在に 千変万化する。


降雪後 雪質や形の変化とともに 天候により 場所的には 同じ場に とどまって いる雪もあるし 風に飛ばされたり 重力にしたがって 移動していく 雪もある。

短時間 あるいは 長時間かけて 地球の重力の法則に したがって 低い方に 低い方に 徐々に あるいは 急速に 急激に 動いたりする雪も でてくる。

雪崩の速度は 新幹線のような 超スピードになったりするし、氷になって動く 氷河などは じわじわ と 年に何センチとか ゆっくり ゆっくりと 低きに流れるように 下に下に流れていく。

雪の変化 移動の 変幻さなど 姿や形や動きなど 人間がすべて わかったとして理解して 雪の動きを予測し 察知するのは、たいへん難しいことだ。

たとえ ほんの少しの 雪の動きの 予兆でも 細心の注意で 探し出すことさえも そうたやすいことではない。

むしろ 本書を見れば 雪の変幻さは ますます わからないことの方が 多いのでは と思ったりもする。

実際のところ わからないことばかりなのだろう。

そんな状態でも 我々は どうすれば 少しでも より 安全に 雪山に接することができるか?


 雪山では どう準備し どう行動すれば ど少しでも危険リスクを減らすことができるのか?

そして 不幸にも もし 万が一 雪崩にまきこまれたときの対処の方法 など  しっかりした指針を本書は示唆してくれて、最新の情報がしっかり盛り込まれ 「大全」にふさわしい 内容になっている。

 この本を読んで とくに ずばり気をつけなければと 思ったのは 以下の

 佐々木大輔氏の 実際体験の話。


「-------他人のシュプールがどれほどあっても、安心はできない-------」
というのを

 スキーヤーを 登山者流 で言えば

「他人のトレースがいくらあっても 安心はできない。」
ということになる。


以下 本書からの引用。182-183ページ 佐々木大輔氏
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■2006年2月フランス トロワバレー クーシュベル。

(ガゼックスとは ガスによる人工雪崩発生器)

「------ガゼックスによるコントロールがあり 数百人の滑り手が滑った後であっても、時には雪崩のトリガーになるスイートスポットが残る、ということだった。」

■2013年11月23日 立山

(この日 7名死亡の雪崩遭難が発生した)

「 すでに 数十人の滑り手がこの斜面を滑っていたのだが、この夕方近い時間までスイートスポットが残されていたようだ」

「このふたつの事例を間近に体験し、他人のシュプールがどれほどあっても、安心はできないと心に刻み込んでいる。」佐々木大輔氏
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2015年2月6日金曜日

2015年2月1日 お亀岩から 天狗峠までの区間 




獲物を追う 猟師は 雪面に残された 動物の足跡から 多くの情報を得て 的確に 判断する。

同様に 雪面に残された 登山者のトレースから いろいろな情報を 得ることができる。

 登山者トレースから 単に人数 履物 歩幅 ペース 装備 など 表面的な 動きや 情報を読みとるだけでなく ルートのとり方などから  経験 判断力 など 大げさに言えば 山に対する考え方までも 知ることができる。

2015年2月1日 お亀岩から 天狗峠まで まだ新しいトレースがあった。

雪庇などの危険個所など 含む お亀岩 天狗峠のあいだでは
ルートのとり方が 危険回避のキーポイント。

2015年2月1日 天狗峠迄の間のトレースからは 先行の 一行は 基本を押さえた 手堅い 動きをしている 感じがし、山に対して 取り組む真摯な姿勢も 伝わってきた。

もっとも 雪山は天候 雪質など 与えられた条件は 時々刻々 変化する。

ことに 四国のような 南国の雪山は 一日のうちで 雪質の変化が 激しい。

先行者がトレースをつけた時間には 正解でも 何時間か経過したあとに 後続が 通過する時間帯には 状況が一変していることも多い。

やはり 通過する その時間にあわせて 自分なりに その都度 的確にルートを判断して進んで いくことが求められる。


過去には おなじ お亀岩 天狗峠 間で 目を疑うような光景に出くわしたこともあった。
2010年1月24日 全く無知なパーティーを目撃し驚いた。


拡大

温暖な地域でも 、雪山は 危険が一杯。


http://www.youtube.com/watch?v=mGAh8R0AJCQ

2015年2月5日木曜日

西熊山 南面 一週間後 みると 案の定 雪崩れていた。

西熊山 南面 一週間後 みると 案の定 雪崩れていた。




2015年1月24日 西熊山 南面




2015年2月1日 西熊山 南面




2015年2月1日 西熊山 南面



2015年1月24日グライドで おおきな クラックがはいり

もうすぐ雪崩れるとおもっていたが


一週間後 みると 案の定 雪崩れていた。


前週1月24日に続けて 2月1日も

西熊山 山頂へ 稜線つたいにたどるのはやめて
より安全側のルートを辿った。




北側の斜面でも 風が吹いて注意するのは
吹き飛ばされた雪の堆積で できる ウィンドスラブ


この付近の山域 矢筈山で


一見 安定しているようにみえる 雪面が 亀の甲羅状に 一気に崩壊するなど
ウィンドスラブには 過去  痛い目にあったこともあり


風で吹き飛ばされてきた雪の罠

ウィンドスラブ帯があるかもしれないので はいりこまないように

雪面を より注意深く 読んで進んでいかないといけない。